社長のインタビューシーン

序章:「ピーラー界のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれて

~ “照れくささ”と“やさしさ”が伝わる道具づくり、その原点から未来へ ~

 

昨今、「ピーラー界のスティーブ・ジョブズ」と紹介いただく場面が増えました。
自分としては身に余る光栄な呼び名で、正直、こそばゆさや恐縮の念がございます。
それでも、こうして取り上げていただいたり、道具やブランドを知っていただくことで、多くの方の手元に商品が届き日々の暮らしに寄り添えたなら、それが一番嬉しいです。
ものづくりは目立つために始めたわけではありませんが、私たちの手道具が、人知れず誰かの日常をそっと支えられるのだとすれば、この上なくありがたいことです。

台所道具の聖地・かっぱ橋で「台所番長」と親しまれる飯田屋の飯田結太社長からも、たいへんありがたいコメントをいただきました。

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飯田結太・飯田屋社長より

「これまで3万点を超えるキッチンツールを見てきましたが、高部さんのピーラーはどれも、持つだけで“おっ!”と嬉しくなる工夫が光っています。
『ののじ』の道具には、日本人らしい奥ゆかしいやさしさ、そして毎日使う人の立場で丁寧に向き合う誠実さを強く感じます。この“ささやかな驚きと、使う人への愛情”こそ、レーベンさんの道具が長く愛されてきた理由だと思っています。」

自分自身、こうした温かい声に支えられ、「目立たずとも、誰かの暮らしの支えになれば」という願いが、日々のものづくりへの大きな原動力となっています。

 

第一章:照れくさい恥じらいと、やさしさが息づく原点

社長のインタビューシーン

――高部社長の“ものづくり”の原点はどこにあるのでしょうか。

私は茨城県の山間で生まれ育ちました。
両親や兄弟とともに、田畑の作業や山の仕事、季節の移ろいを身体で感じながら日々を過ごしていました。
春は田植え、夏は川遊びや魚捕り、秋には収穫や薪割り、冬は炭焼きや木の実拾い――
そんな暮らしの中で、必要な道具があれば父がサッと作ってくれることもあれば、「まずは自分でやってごらん」と背中を押されたことも多くありました。

初めてナイフを握ったときの、“ちょっと怖いけれど、もの静かなワクワク”
釘を曲げたり、木の枝を削ったりして、下手なりに自分だけの道具ができると、ぽっと心があたたかくなったものです。
うまくいった時に母が「すごいね」と微笑んでくれると、照れくささと自信が胸の奥で静かに広がった事を覚えています。
そんな小さな恥じらいが、今も「謙虚に」「やさしく」ありたいという自分の芯になっているように思います。

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――子ども時代から“ののじ”の精神が芽生えていたのですね。

ええ。あまりに身近すぎて、若いころは当たり前に思っていましたが、大人になってから日本人らしい“照れ”や“奥ゆかしさ”の中にこそ、日々の暮らしの美しさ、おおらかさがあるのだと気づきましたね。

二章「 多彩な経験から生まれた“そっと寄り添う工夫” 」

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